2020/09/27

景気が悪くなるとなぜ円高になるのか

event_note9月 27, 2020 editBy 投資家 Shindy @ Civil Designer forumNo comments

世界的に景気が悪くなると円が買われます。日本国内の経済が悪化しても円が買われます。

景気が悪くなると円高。日本は大量の借金を抱えているのに円が買われる。おかしいと思いませんか??


景気が悪くなる国の通貨を買うのは逆のことをしているんじゃないかと思ったりしませんか。さらには、日本の金利はほぼゼロです。こないだマイナス金利なんていう政策まで出ています。なのになぜ円を買う人たちがいるのか。私は、為替をやるようになってずっと疑問でした。


実質金利と名目金利

金利に関して言えば、日本の金利はほぼ0%で、銀行にお金を預けてもほとんど増えません。しかし、実質金利は日本は0.4%(2020年9月時点)くらいあって、欧米よりも高いです。実質金利が高ければ、当然のその国の通貨を買いたくなります。

ドル円で見れば円が買われる理由というのはそこにあります。


実質金利とは以下の式になります。

実質金利=名目金利ー物価上昇率(物価変動率とかインフレ率、デフレ率と言ったりする)

名目金利:いわゆる銀行とかに預けているお金にかかってくる金利のことで、100万円預けて金利が年5% だったら1年後に105万円になるということです。

物価上昇率:世の中に出回っている商品の値段のことです。つまり、1年で物価上昇率が3%だったら、1年前100万円の商品が103%になっているということです。


以上から実質金利に基づいて100万円の価値が1年前と今を比較すると

1年前と比較した場合の実質金利に基づく100万円がいくら増えるかというと

100万円×1.05-100万円×1.03=102万円

となります。実質金利は、2%(5%-3%=2%)だということです。


2020年4月の状況で実質金利を算出すると 


アメリカの実質金利=0%(名目金利)- 1.81= -1.81% 

日本の実質金利=0%(名目金利)- 0.48(物価上昇率)= -0.48% 


と、なるわけです。日本の方が、金利が高いですね。マイナスですけど。

物価上昇率がマイナスだと金利が上がっていくことになります。昨今、安倍内閣に代わり日銀の金融緩和をもってして物価上昇率を上げようとしていました。評価は色々言われていますが、一応物価上昇率はプラスになっています。

2008年のリーマンショック後の不況の時、日本のデフレは深刻だったわけですが、その時は円高が止まりませんでした。その際の実質金利は、

2008年頃の日本における実質金利=0%(名目金利)- (-1.5%)(実質金利)=+1.5%


だったわけです。デフレというのは物価が上がってこない状況をいい、物価上昇率で言えばマイナスです。何も買いたくないもしくは買えない状況です。「物価上昇率」で検索すると、日本以外にも各国のデータが見れますので調べてみてください。つまりは、不況になって物価上昇率がマイナスに転じた瞬間金利はプラスになるわけですね。コロナ禍で、消費が落ち込んでいるので2020年9月の今は、間違いなく実質金利はプラスなはずです。そういう意味では、意外と円高が進んでいない。

安倍政権になり黒田日銀総裁と物価上昇率2%を頑張ると明言し、こんなに頑張ったのになぜ物価上昇率が上がってこないかというのは諸説あるようです。調べるとやはり少子高齢化により消費がないので価格が上がってこないのでしょう。金融緩和で一時的にお金を量を増やすよりも、少子高齢化対策にお金を使った方が将来的には正解です。

少子高齢化については、お金を使うことも必要かもしれませんが、制度設計をしっかりやるべきだと考えます。残業や労働時間に対する規制は、絶対だと思います。その他、社会保障費の問題もありますが、まずは制度設計をしっかりやるべきだと思います。そんなにガツガツ働かせても消費がないのに、儲けもでませんて。

もちろん金がないと子供も育てられないという考え方もありますので、難しい問題です。

コロナにより一律10万円の給付金がでました。当初、政府は所得制限を設けると言ったりしていましたが、最後は一律給付となりました。これは私は正解だと思います。一律給付により、お金を使わないといけないという意識が明らかに増えたと思います。芸能人の方もこぞって、消費を促すようなコメントが増えたと思います。

対外債務と対外債権について

もう一つ円が買われる理由が、日本が外国に対して多くの債権をもっているという点です。

対外債権が対外債務を上回っている状況です。当然、対外資産も対外負債を上回っています。2019年末の状況で、

日本の対外資産 → 1097兆円 / 対外負債 → 733兆円

となっています。これも円高が進む理由の一つです。

実は、近年昔ほど円高が進行しなくなったと言われています。対外資産が増えてはいますが、実は対外証券投資よりも対外直接投資の方が増えてきていることが原因の一つです。近年、海外への工場移転や海外企業の買収を進めています。

経済が危うくなれば外貨建ての国債や証券を手放し円を買う動きをとりますが、海外の工場や会社をすぐに手放すことがないためです。

少し話は逸れましたが、日本は世界最大の対外債権国の座に未だにいるため、円が安全資産だと呼ばれるわけです。





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